2008年12月7日日曜日

桐箪笥と桐たんすの削り直し

 タンスの中でも高嶺の花ともいえる箪笥(きりたんす)は、昔も今も、家庭用家具の中でも高級家具の代名詞となっています。日本においては、その昔、女の子が生まれると記念に桐の苗木を植えて、その子が成人して結婚する時には、そのキリの木を切って桐箪笥を作って、嫁入り道具の一つにするという言い伝えがあります。桐の木はそれほど成長が早い木といえます。

 桐たんすは、見た目がスカスカのようで持ったときにもとても軽ことから、頼りない感じのタンスなので良く燃えるように思えますが、実は、桐はとても燃えにくい性質を持っている木なのです。いい例としては、自宅が火災にあっても、桐たんすの中に入っていた着物だけがが燃えずに、消火後にも綺麗なままで残っていたという事例もたくさんあります。

 桐箪笥というものは、日本だけにしかない古き良き文化が今でも生き続けている家具といえます。桐箪笥は、その性質上、乾燥すれば桐が収縮して通気性を増し、逆に湿気が増えれば桐が膨張して水分の侵入を防ぐという、いわば自然の自動空調機能を備えています。また、桐箪笥は、カビや害虫を寄せつけず、腐りにくく頑丈なことから、タンスとしては適切な素材といえます。

 桐タンスは、何十年も前の桐タンスで日焼けなどで古くなってしまっても、再度、桐箪笥の削り直しのリフォーム修理に出すことによって、新品同様の桐タンスにきれいにリフォームされ生まれ変わりことができます。おばあちゃんがお嫁に来るときに、嫁入り道具の一つとして持参してきた桐タンスが、たとえ孫の代になっても削り直しによって、また新たな桐タンスとして生まれ変わることができます。この桐箪笥の削り直しの美しい仕上がり具合は、新しくなった桐タンスを見て、おばあちゃんが「またお嫁にいけるね。」という言葉に象徴されているといえます。

 桐タンスは、当初の購入価格が高価であったとしても、子や孫の時代まで長く使い続けることができる家具として、日本古来からの「もったいない」精神を発揮したリサイクル可能な家具といえます。さらに、自宅で使用しなくなくなった桐タンスは、数度削り直しができることから、中古家具であっても比較的高価で買取される家具の一つでもあります。